【12】Roland D-70 〜何だかややこしいことに〜
すっかりローランド好きになってしまった僕はD-50に続き、D-70を購入した。発売 は1989年。買ったのは1990年だったと思う。定価¥250,000。 今思えば、バブリーな時代だった、ということなんだろうなぁ。いろいろな音楽イ ベントがあったし、日清パワーステーションをはじめ企業が活発にライヴ・スペース を運営するなどの動きがあった。 伊藤銀次氏のバンドでもけっこう多くの場所で演奏する機会があった。元CCB関口 誠人氏のバンドで、日本からお客さんを連れてニューヨーク・ライヴ、なんてことも あった。 この頃から、ライヴ演奏や自宅録音をやっていく中で、キーボードという物を単体 の鍵盤楽器というより「システムの中のひとつ」と捉えるようになってきた。MIDI規 格の普及に伴い、電子楽器の周辺には様々な可能性が生まれてきたのだ。 たとえば、ライヴでは1台のキーボードで複数の音源をコントロールできると非常 に便利だし(「マスター・キーボード」としての機能)、自宅録音などでは、1台の シンセから同時に複数のパートを発音させられる「マルチ・ティンバー」という機能 が非常にありがたかった。 D-70はこの両方ができた。もちろんシンセサイザーの命ともいうべきサウンド・ク オリティは素晴らしかった。シャリッとしたブラス系とカラッとしたストリングス系 がまさに僕好み。 しかし実は、ややこしい時代になってきたなぁ、と感じてもいた。このような「シ ステム」というものは、ただ鍵盤を弾くというだけではない、全く別物のセンスが必 要なのだ。苦手なんです、こういうの。何しろ僕はテレビとビデオの接続すらも難義 するほど、何かと何かを繋ぐのが大の苦手。複数の物をシステマチックに1つにまと めるのが苦痛なのです。頭がこんがらがっちゃう。拡張性なんて必要なし! ひとつ ひとつ独立して完結して欲しい、などと思ってしまうのだ。 とは言っても、このD-70はよく使った。 ライヴでは、マスター・キーボードとして大活躍。音源モジュールD-550とE-mu Vintage Keysか何かともうひとつくらいをこれでコントロールしていた。もちろん音 源としても使った。 自宅録音では、これ1台で同時に5パートの音が出せたので、多重録音という方法 よりも、シーケンサーでD-70も含む複数のシンセサイザーを同時に鳴らし、直接カ セッ ト・テープなどに録音する方法が多くなってきた。(その頃の使用シーケンサー はYAMAHA QX-3。これはその後コンピュータを使うようになるまで愛用した。) このD-70、現在ハードケースがぼろぼろ。あっちこっちに運んだもんなぁ。
未だに使っている古〜い音源モジュール。 上からE-mu Vintage Keys,Roland JD-990, Roland D-550,Roland R-8M。 ローランド好きの僕はこの他にXV-5080も愛用中。