NOT DIARY

 

■ 2005/02/28(月)01:18  ブラッド・メルドー。
DSC20064.JPG 320×240 15K
いちごです。
早く実がならないかなぁ。

先日(2/20)、ブラッド・メルドーのコンサートを観てきた。
すみだトリフォニー・ホールでのソロ・ピアノ・コンサート。
内臓に語りかけるような柔らかくて大きなグルーヴ、これ以上ないというくらいに豊かで芳醇なハーモニー、音量と音色を自由自在にあやつる精密なタッチ、無限のイマジネーション、そして思わず唸ってしまう独特のアイデア。
とにかく素晴らしかった。
ビル・エヴァンスの流れをくむ、とよく説明される彼だが、ソロ・ピアノということもあってか、どちらかというとキース・ジャレットに近い感じがした。しかし、誰にも似ていない、まさにワン・アンド・オンリー。
音だけ聴くと、いったいどうやって弾いているのか、手が何本あるのか分からない。チック・コリアも、ハービー・ハンコックも、キース・ジャレットも、ビル・エヴァンスも、ああいう弾き方はしない。
ジャズでロックでポップでクラシック。美しくて、時に過激で、適当にアヴァンギャルドで、よく歌う・・・、今いちばん惹かれる世界だ。
あんなに自由にピアノを弾けたら、本当に楽しいだろうなぁ。陶酔と嫉妬の2時間。圧巻でした。
クラシック用のホールだっただけに、咳するのも憚られるような、ちょっとかしこまり過ぎの雰囲気でしたが、3回目(!)のアンコールで「Monk's Dream」を弾き出すと、さすがに「Yeah!」みたいな声もあがって会場もくだけたいい感じになった。
みんな、反応が遅過ぎ。って、僕もか。
3回目がなかったら、どうするの。

■ 2005/02/15(火)01:56  ヴァレンタイン・デー。
DSC20063.JPG 320×240 15K
清瀬の病院に友人Nを見舞った。
Nは僕より4つ年下。会社勤め時代の後輩だ。
その彼が、脳内出血で倒れたのは去年の秋。知らせを受けたのは先月だった。
院内では、普通に歩いているのは見舞いの人と看護婦など病院関係者だけだ。患者はみな車椅子。
ここはリハビリの病院らしい。
そして患者はほとんど老人。輪になるようにテレビを見る車椅子の集団にぽつんと若い彼はいた。
声をかけると、驚いてこちらを見た。だが無表情。
「まいったよ」「自分じゃないみたいなんだ」
半身不髄。唯一かろうじて動く右手でお茶のはいったコップを持ち、ストローで吸いながら喋る。
案外口調はしっかりしていた。記憶が曖昧、と聞いていたので、僕が誰か分かるか不安だったが、大丈夫だった。
彼はつくづく不運だと思う。
入社してすぐB型肝炎で入院、結局会社とそりが合わずある機会に辞めた(その時、僕も一緒に辞めた。)その後、編集プロダクションなどを転々とし、バブル時はまあまあよかったものの、結局あまりうまくいかず躁鬱病になり、あげくに脳内出血で倒れた。
文を書かせればすらすらっと見事なものを書く。音楽を語らせると、思わず唸ってしまうような評論をする。その他、文芸からアート、社会問題からスポーツまで、博識と独特な自説で、みなを飽きさせない。ユーモアもある。
頭がいいのだと思う。
そのオレがなぜ波に乗れないのか、ということで病んでいったんだと思う。
僕にピーター・ガブリエルの音楽の深さを教えてくれたのは彼だし、マイルス・デイヴィスの志の高さを教えてくれたのも彼だった。再結成EL&Pや、ブルーノートでジョニー・グリフィンとトミー・フラナガンを一緒に観たりもした。
病院で音楽は聴けるのかと尋ねたら、聴けるけど何も聴きたくないという。本も読みたくない。何もしたくない。何もする気がしない・・・。
唯一の楽しみが食事だという。僕は夕方4時頃たずね、すぐ帰るつもりだったが、食事が終わるまでいてくれというので、夕食を待った。結局、夕食が運ばれてきたのは5時45分、その間ずっと「まだかな、まだかな」「あ〜、早く食べたい」「ちょっと遅すぎる。聞いてきてくれない?」と言いっぱなし。
運ばれてきたら、あっという間にたいらげた。
食欲以外に何か欲がわいてくる日がNに来ることを切に願って帰路についた。

健康でしかも音楽ができる、そのありがたさが身にしみた、ちょっと重いヴァレンタイン・デーでした。
ということで、今宵は痛飲。ま、毎日飲んでますが。

写真と本文は関係ありません。神代植物園の梅。やっぱ、かわいいなぁ、梅は。
冷たい空気の中で、ちょこんと咲くけなげさが好き。

■ 2005/02/10(木)21:43  BGM。
DSC20062.JPG 320×240 14K
整体に行った。
ライヴの後、腰・肩・背中・足がこりこりで(運動不足です)、もうたまらず行きつけの治療院に駆け込んだ。
診療台に横たわって治療を受ける間、目をつぶっているが、たまに整体師の体勢がどうなっているのか分からないような時がある。それをイメージするのも楽しい。想像の中で、整体師は柔軟な体操の選手のようなスーパー・アクロバティックな体勢で、僕の肩をおさえ、臀部を圧迫し、片方の腿をひっぱり、片方の腿を押し出し、腰をひねっている。あ〜、気持ちいい。

気になるのはBGM。たいてい毒にも薬にもならないような、メジャー系でアルペジオ系でテンポゆったりで(しかし機械的な一定のテンポで)2コードくらいの展開のない曲が、一昔前のシンセの音色でエンドレスで院内を漂っている。
こういうの、気になってしょうがないんですよ、僕は。多分、たいていの人は耳に入るでもなく言われれば「ああ、そういえば鳴っている」という感じだと思うんですが、僕はこういうのが鳴っていると、悲しいかな妙にその音に集中してしまって、ちっともリラックスできないのだ。聴くまい聴くまい、と思うほど聴いてしまう。

以前、浜田山に住んでいた時、近所のイタメシ屋さんに行くと、いつも同じ音楽が流れていた。曲順も覚えてしまって、しかも45分テープだったんじゃないかなぁ、必ずテープの頭に戻ってさっきと同じ曲がまた流れはじめる。安くておいしかったけど、ちょっと・・・・。

写真は、鳥に全部食べられる寸前に収穫したベランダの鉢の実。ミカンとレモンは裏側がかじられているのだ。
BGMにするなら音楽より小鳥の声の方が好き。

■ 2005/02/07(月)14:02  確かに少し似ている。
DSC20061.JPG 320×240 15K
三島由紀夫を読み直している。
20年ぶりくらいか。
美しい文体、研ぎすまされた感性、隙のない構成、無限の想像力、揺るぎのない哲学。
あらためてその早熟な天才の世界に唸っている。
彼が割腹自殺したのって、45才なんですね。
それを思うとまた一層唸ってしまう。

しかし、TV番組で「僕は三島由紀夫に似ているとよく言われる」と俳優の筧利夫が喋っていたので、三島に思いを馳せると、筧利夫と神田うのがセットで頭に浮かんできてしまうのだ。
くそっ、またふたりの「息爽やか!」な顔のアップが、あの三島の美の領域に侵入してきた。
あ〜、誰か助けてちょ。

■ 2005/02/04(金)14:06  食い放題。
DSC20060.JPG 320×240 15K
いやいや、すっかり筆無精になってしまった。
これからこまめに更新します(予定)。

ベランダのみかんの鉢。大事に大事に育ててきたのに。
あとで食べようと楽しみにしてたのに。
やられました。
早朝、夢の中に可愛いさえずりが聴こえ、「ベランダに鳥が来てる。かわいいな〜」なんて布団でにんまりしてたら、こういう悪さされてたわけですね。
最初に実を突いたのはすずめのようだが、いちばん悪いやつはヒヨ。すずめがちゅんちゅんと啄んでいると、ヒヨが「どけどけ」と傍若無人にやってきて、横取りする。イヤなやつ・・・。しかも大きな可愛気ない色の糞をまきちらして・・。
みかん、れもん、きんかん、と並んでいるのですが、鳥はどれがおいしいか分かるんだなぁ。おいしい順に食べる。撮影の翌日には、みかんはあとかたもなく食い尽くされ、その後、きんかんに手を付け(20個くらいの実がみんな食べられた)、最後にはれもんまで啄まれました。
ダイヤの鉢でも置いたら、可愛い女性が来るかな。

過去ログ 2002年10月 11月 12月 
2003年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 09月 12月 
2004年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2005年02月 03月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2006年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月